中東情勢とエネルギー戦争 ― 「原油ルート」をめぐる攻防
イラン情勢が緊迫してから、約10日ほどが経ちましたが、依然として予断を許さない状況が続いています。
私の友人はサウジアラビアに家族で住んでいるのですが、今回の緊張の高まりを受けて、一時的にヨーロッパへ避難したとのことでした。とりあえず無事だと聞いて、まずはひと安心といったところです。
今回のアメリカによるイランへの攻撃については、単なる軍事衝突ではなく、エネルギーをめぐる地政学的な動きではないかとも言われています。
中国の原油ルートと「シャドーフリート」
近年よく話題に出る言葉に
「シャドーフリート(Shadow Fleet)」があります。
これは簡単に言うと、
・国籍をはっきりさせない
・位置情報の発信機を切る
・保険にも入らない
といった形で航行する、いわば**「幽霊タンカー」**のような船団です。
中国はこうしたタンカーを使い、アメリカの制裁対象国から原油を購入しているのではないかと言われています。
たとえばイランはアメリカの制裁対象国のため、通常は他国が原油を購入することは非常に難しい状況です。
しかし、中国はこのシャドーフリートを経由することで、実質的に原油を輸入しているという指摘があります。
中国の公式統計では「マレーシアから原油を輸入している」という形になっていますが、実際にはマレーシアの埋蔵量と輸出量が合わないという指摘もあります。
つまり、実際には
イランやベネズエラなどから原油を買い、それが別ルートとして計上されている可能性があるというわけです。
ベネズエラとイランへの圧力
こうした背景を踏まえると、今回の動きも少し違った見方ができます。
アメリカは近年、
ベネズエラ
そして今回のイラン
と、制裁対象国への圧力を強めています。
この2つの国は、中国にとって重要な原油供給源とも言われています。
もしここが止まれば、中国のエネルギー供給に大きな影響が出る可能性があります。
そのため、今回の動きで最も困るのは中国側ではないか、という見方もあるのです。
なぜ他の国は買わないのか
欧米諸国や日本がこうした制裁国から原油を買わない理由は、非常にシンプルです。
それは
アメリカの金融システムが使えなくなる可能性があるからです。
国際金融の多くはドル決済で動いているため、アメリカの制裁に違反すると
・ドル決済ができない
・国際銀行を使えない
といった重大なリスクが生まれます。
そのため、日本や欧米諸国はサウジアラビアなど、別の国から原油を輸入しているのです。
ホルムズ海峡が止まると何が起きるか
今回の情勢で最も懸念されているのが
ホルムズ海峡です。
ここは世界の原油輸送の大動脈とも言われる場所で、日本だけでなく
・韓国
・台湾
・欧州
など、多くの国のエネルギーがここを通っています。
もしここが封鎖されれば、世界経済に大きな影響が出る可能性があります。
台湾が抱えるエネルギー問題
特に影響が大きいと言われているのが台湾です。
台湾は2025年に完全脱原発を進めました。
しかしその結果、
・AI産業の電力需要増加
・エネルギー供給の不安定さ
といった問題が出てきています。
さらに台湾は、日本ほど大量の原油を備蓄できる施設が少ないとも言われています。
もし輸入が止まれば、
電力不足に直結する可能性もあるのです。
台湾は日本よりも気温が高いため、電力不足は生活にとっても大きな問題になります。
そのため現在、南部の原発を再稼働させようという動きも出ていますが、
・地元の反対
・停止した原発の再稼働の難しさ
などの問題もあり、簡単には進んでいません。
AI時代と電力不足
これからの時代、AIの普及によって電力需要はさらに増えていくと言われています。
その中で
・エネルギー安全保障
・電力供給
・地政学リスク
をどう考えるのか。
今回の中東情勢は、単なる地域紛争ではなく、世界のエネルギーと経済の構造を考える上でも重要な出来事なのかもしれません。
これからのAI時代において、各国がどのように電力とエネルギーを確保していくのか。
その選択が、これからの世界のバランスを大きく左右していくように感じます。

